ストーリー・テリングはアメリカンコミック的な重厚さで迫って来るし、前作で煩わしいと感じさせられた部分などはきちんと改善されており、
主人公に取り憑いたThe Darknessという悪魔の触手を利用した戦闘も中毒性が高く、同じ様なシチュエーションが続く割には飽きさせない。
何より「プレイヤー自身を揺さぶる」という、ストーリーに仕掛けられた罠は見事に成功しており、このゲームを「80点だが非常に印象深いゲーム」にしている。
いい点:
・悪魔の力を使ったスピード感のある戦闘
・主人公の持てる最強の武器であり、最も憎い仇でもあるThe Darknessを筆頭とした魅力的なキャラクターたち。
・Call of Dutyの様なハリウッド的なストーリーや演出と一線を画す、アメリカンコミックとゲームを上手に融合させたストーリーテリング。
・前作で煩わしかった能力の切り替えを廃し、様々な悪魔パワーをクリック一つで行使出来る様にしている。
悪い点:
・相変わらず、駆け引きの楽しさと言うよりはストレスを感じてしまう「光の下では悪魔パワーが使えない」という設定。しかし前作よりは上手くレベルデザインに利用している感があり、もう一練りすれば…といった所。
・能力のアップグレードが今ひとつワクワクしないものばかり。Gun-Kataは非常に強力で名前もツボだったが、特別な演出があるかと思いきやただのオートエイム機能だった。
他にも装弾数が増えるだとか、弾の威力が上がるなどといった地味なものが多くアップグレードの楽しみというものが薄かった。
・武器の種類が少なく、かなり序盤で飽きが来てしまう。武器切り替えシステムも使い易くはない。
・マルチプレイはよく出来たオマケ程度。
総評:
一風変わったシステムとストーリーに支えられてはいるが、銃撃戦自体は出色の出来という程ではない。
ストーリーを邪魔しない程度に遊べる、という位のものである。
しかし、もしも貴方がシングルプレイに重きを置くムービー・タイプゲームのファンであるのなら、プレイして絶対に損は無いゲームだ。
ゲームを通じて主人公Jackieは内在する宿敵The Darknessと新たな敵、Victor Valente率いるThe Brotherhoodの板挟みとなる。
更にはThe Darknessと闘いつつも守らなければいけないというジレンマに陥る。
気づけば主人公だけではなく、貴方までもがThe Darknessの魔の手にかかっている事だろう。