2010年8月19日木曜日

音楽の為のバンドか、バンドの為の音楽か。

....."音楽活動"には、二つの側面がある。


さて、おおよそ3か月ぶりの記事である。
今回は、はっきりと書きたい事があって記事にさせて貰った。

まずは要点を言おう。
"音楽活動"には、「音楽そのもの」と、「それ以外のしちめんどうくさい事」がある。
冒頭で述べた二つの側面とは、この事だ。

「それ以外のしちめんどうくさい事」については、簡潔に「マーケティング」と呼ばせて貰おう。

人が音楽をやる動機には色々ある。
たとえば僕の動機だが、僕がこの世で最も尊敬するドラマー、Mike Portnoy(Dream Theater)のプレイに雷を落としていただいたからに違いない。
僕は彼の様なプレイをしたい。正確には、彼と同じ音楽的威力(これについてもまた詳しく書こうと思う)を持ったプレイがしたい。

そして、動機には色々あると述べた通り、全く別の入り口から音楽に入る人も居る。
「ああ、ヤりてー、モテてー」
そして彼はギターを手に取った。歌い始めた。

いわゆる「モテたくて音楽始めてみた人」である。
僕はそれも大いにアリだと思っているし、最初はモテたかっただけの筈がだんだんと音楽にのめりこむという事もあるだろう。

それから、「有名になりたくて始めた人」「誰かに注目してもらいたくて始めた人」「子供の頃からやらされていたので何となく続けてる人」と、動機は十人十色である。

さあ、ここまで書かせて貰って何だが動機は何でもいいのだ。
音楽が本当にその人にとって大事ならば。

さあ、はっきり言うぞ。言うぞ。
バンドをやっている人間には…
音楽をやりたくてバンドをやってる人間」と、バンドがやりたくて音楽をやってる人間」の二種類しか居ない。

こうして文章にしたそばから自信が無くなって来るが、詳しく話そう。
まずは冒頭の「二つの側面」を思い出して欲しい。
「音楽そのもの」と、「マーケティング」である。

「音楽そのもの」とは、文字通り演奏して楽しむ事。
音楽にあこがれ、練習し、機材を揃え、手近な誰かに聞かせ、ライヴやジャムを重ねる事である。
演奏において色々な表現をする為に、人生経験を積む事もこれにあたるだろう。

対して「マーケティング」とは、人気・利益を出す為に行う行為である。
いろいろな媒体で宣伝をして、CDを焼いて売ったり、ファンサービスをしたり。
人間関係のマネジメント、物販活動もこれにあたるだろう。

この二つを区別する決定的な要素は何か。
それは、演奏者の出す音に強く関わるか否かである。
たとえば、「マーケティング」にあたる行為が上手くいこうがいくまいが僕の演奏にはさほど影響はない。

しかし。しかしだ。"バンド"というものは、この双方をきちんとやっていかないと回らない。
「音楽そのもの」をきちんとやらない事には誰の心も掴めない。
「マーケティング」をしない事にはまず見向きもされないし、金銭面などで大きく負担がかかりバンドの瓦解に繋がる。

ここに"Hoge"というバンドがあるとしよう。(本当にあったらごめんなさい)

ギターボーカルのAliceちゃんはみんなにチヤホヤされたくてバンドを始めました。音楽はバンドを始めるまであまり興味ありませんでした。
つまり彼女はバンドがやりたくて音楽をやってる人間」です。

ベースのBob君はとあるベーシストに憧れて音楽を始めました。いわゆる音楽馬鹿です。音楽以外の事は考えてません。
そう、彼は音楽をやりたくてバンドをやってる人間」です。

ドラムのClaireちゃんは、ドラムが大好きですが、有名になりたいという気持ちもとても強いです。


この"Hoge"というバンドだが、まず間違いなくAliceちゃんとBob君はぶつかり合う。
Aliceちゃんは「マーケティング」をきちんとしてお客さんを沢山集めて、グッズも沢山売って、いろんな人にチヤホヤされてお金も儲けたい。
Bob君は、聞いてくれる人が増えるのは嬉しいが儲けや一時の人気には興味がない。"音楽そのもの"が好きだからだ。

こうして瓦解したバンドというのは、おそらくかなり多い。
では、このバンドが上手くいくにはどうしたらいいのか。
Claireちゃんは言いました。

「Aliceちゃんはもっと音楽を愛しなさい。そして聞き、歌い、弾きなさい。でないと本当に良い音楽は出来ません。それが出来れば何万人という観客があなたの虜になりますよ」
「Bob君、あなたは熱い心を持っていますが、あまりにも現実を軽視し過ぎです。あなたのその気持ちはいい音楽を作るのに必要不可欠ですが、身近な人たちに感銘を与えるだけで満足ですか?」

そしてAliceちゃんとBob君は意識を変え、バンド"Hoge"は何だか上手い事いって人気を博したのでした。


...そう、バンドとして成功する為には音楽をやりたくてバンドをやってる人間」と、バンドがやりたくて音楽をやってる人間」その双方が、お互いに歩み寄り「音楽そのもの」と「マーケティング」の大切さを上手にやっていく他ない。
あるいは分業して上手くやっていくか。


最近の経験から思った事を整理して書き残したのであって、自分でもこれが正しいのか模索している部分もある。
異論、反論など頂ければ幸いです。
バンドをなさっている方、一人で音楽活動をなさっている方、もしよければご一考いただきたい。