2010年11月20日土曜日

[無料FPS]Alliance of Valiant Armsレビュー

─本格エンジン搭載で出色の出来を誇る、Free to PlayFPSゲームの佳作

俺スコア
7/10


FPSゲームをプレイする人間が、無料FPSゲームに抱くイメージというのは、どういうものだろうか。

DX8世代の様なショボいグラフィック、調整の甘いゲームプレイ、弾の当たらないネットコード、不便でカッコ悪いGUI、金だけ搾り取る様なおかしなシステム、等々…。

その想像は、大方にして間違っていない。


しかし、昨今の無料(Free to Play)FPSゲームは、そこもしっかり改善して来ている。

今回、このAlliance of Valiant Arms(以下AVA)をプレイしてみて感じた事だ。


恐らくは、無料FPSゲームを主にプレイする層というのは、もともとパソコンゲームにあまり触れた事がない、

或いは、ハンゲームやモバゲー、コンソールゲームなどを中心に遊んでいる10代-20代の若年層が多い様に思う。

昔は、子供だましの様なFPSゲームでも、目新しさやそのゲーム性からプレイヤーを確保出来たのだろうが、

今はコンソールでもHaloやCall of Dutyの様な上質なFPSゲームが多く遊ばれる様になり、生半可な作り方ではお客を掴めない様になったのではないだろうか。


そこで、他のFPSゲームに負けないよう、MMORPGの様に多種多様なアイテムを追加したり、コミュニティ要素を強めたりといったセールスポイントをつける工夫が始まったという背景があると思うのだが、

このAVAは、高度なエンジンを仕様して「ゲームとして面白い」ものを作ろうとした感触が感じられる。個人的には好みなアプローチだ。


ゲーム内容を説明していこう。

Unreal Engine 3を利用した本作は、オーソドックスなCounter-Strike系FPSゲームだ。

ゲームモードはお馴染みのTDMモード、爆破モード、それからプレイヤー同士で力を合わせ、わらわら出てくるBot(CPUプレイヤー)と戦うCoopモードだ。

特にCoopモードのバリエーションが多い。基本的には出てくる敵を倒すだけなのだが、一つのマップでひたすら溢れ出る敵を倒すものや、仲間と協力して道程を進んで行くものなどがある。

モードを問わず、ある程度の作り込みがなされており、BOT戦でもウェーブ毎に強化される敵やボス的位置づけの強力な敵など、楽しませる工夫はしてある。


しかし、残念なのがバランス調整。これに尽きる。

各プレイヤーの体力は、Counter-Strikeなどと比べてかなり高めに設定されており、接敵からの戦闘時間がかなり長引く印象がある。

例えば、比較的アサルトライフルの中でも威力の高いAK47を使って3発ヘッドショットを決めたにも関わらず、敵がゆっくり撃ち返して来たスナイパーライフルの一撃に撃ち負ける、という様な事もままある。(ヘルメットに当たる音は確認したものの、当たり判定の問題かもしれないが)

結局は、動きながらでもグルーピングが優秀なSMGや一撃の威力が高いスナイパーライフルの天下となり得る。

リコイルの調整も問題で、Counter-Strikeの様にコントロールを覚えたからと言ってグルーピングを保てる様な種類のものではなく、結局の所しゃがんでねじ伏せた所で、瞬間火力が高く機動性のあるSMGに撃ち負けるといった事になる。

シビアなFPSゲームに慣れた者にとっては、何発も当てなければいけない体力調整と、暴れっぱなしのリコイルはかなりストレスが溜まる所だ。

Counter-Strikeの様にプレイヤースキルが圧倒的戦力差になる事を避ける為の調整と受け取れば、悪くはないのかもしれないが。


また、ネットコードに未熟な部分が散見される。一番残念なのが、モデルが頻繁にワープする所だ。

特に上下動の時などによく起きる。動いてもグルーピングを保ちやすい武器の有利さを助長する事になってしまっている。

最後に、Unreal Engine3を用いたというグラフィック面も、さほどといった感じである。これは、ユーザーのPCスペックの間口を広く取らなければならない無料FPSゲームとして仕方ない面であろうけれど。


つらつらと問題点を書いたが、全体的には、ある程度楽しめる、良質とは言えないまでも佳作的なFPSゲームだ。

有料課金でしか手に入らない激しい性能の武器というのも今のところあまり無い様であるし、本当に暇になってしまったら一度プレイしてみて欲しい。